ボウリング調査から推進工法を選定
推進工法を採用する場合には次の三つの要件が考えられる。
1)交通量の多い道路、鉄道、河川、構造物下の横断施工の場合
2)周辺環境条件や道路占用条件等から開削工法が適さない場合
3)埋設位置が深く、経済的に有利な場合
また、採用するうえでは次のようなことを考慮しなければならない。
① 地下水の多い場所や土質条件によっては、補助工法の検討が必要である。
② 軟弱な地盤で施工する場合には、推進管の沈下を起こすことがある。
③ 推進中、障害物に遭遇した場合の処置が困難である。
④ 地質条件、施工方法によっては、地表面の沈下をおこすことがある。
⑤ 施工精度を維持するには、作業員の熟練と綿密な施工管理が必要である。
⑥ 立坑位置の選定については、特段の配慮が必要であり、発進立坑は、当初の立坑構築、推進工、マンホール築造、埋戻工、土留の撤去まで、長期にわたるので、立坑周辺に与える影響が大きい。
以上のことから、推進する位置の地形及び土質状況が、推進工事に大きな影響を与えることがわかる。
その状況を調査し、特性を把握して、もっとも適した推進工法を選定することが重要である。
地形及び土質調査は、次の項目について行わなければならない。各調査は、踏査、ボーリング等を適切な方法で行うものとし、調査位置や調査項目等については、責任技術者の判断によるものとする。
1)地 形(地形の観察と把握により行う)
2)地層構成(できるだけ広い範囲の地層構成を把握、地質縦断図を作成)
3)土 質(資料採取、標準貫入試験、物理試験、力学試験、現場透水試験、地下水測定、その他)
4)地 下 水(季節的な変動や人口的変動、潮位による変動があるため、測定時の条件を確認)
5)酸欠空気、有害ガスの有無(鉄分や有機物が酸化した酸欠空気、有害ガスには対策が必要)
しかし、そんな重要な土質調査だが、たかが直径60mmのボーリング数箇所で、すべてを把握するのはやぶさかではない。地層、N値、粒度、礫径、水位、透水係数など、推進するスパンは100mもあればその途中でいくらでも変わる。そんな状況を予測し施工サイドではほとんど安全側へ傾き、高額な推進工法を要求する。
透水係数や礫率を高く推定し、さらに礫径を3倍したりして、土質調査報告書の推定する推進に不利な情報を採用することで、安全で確実な推進工法を選定することができる。しかし、それは単に設計や事務処理が安全で確実なだけで、本来の公共事業は安全を確保して最も経済的な工法を選定するのがあるべき姿ではないだろうか。
多少の土質の変化を、推進工法のみで対応するのではなく、補助工法や立坑の再設置など、トラブル回避策も考慮のうえ安全で経済的は工法を決定する事が重要である。そのためには、土質報告書の推定項目を精査し必要以上の不利な情報を排除して経済的な工法を選定したあと、施工時に試掘や立坑の掘削土砂の確認、薬注時の削孔状況、鏡切の切羽の状況など、できるだけ多くの情報を追跡調査し、先に選定した経済的な推進工法が施工可能であるか検証を行うことが必要がある。その結果、推進工法を変更するか、補助工法を併用するか再度検討し判断する細やかさが重要ではないだろうか。



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